恐ろしい二つの地図

やがて日本を溶かしさる「グローバリズム」の進展。
私がかねて恐れていたのは、日本が次のようになってしまうことでした。



上の画像の出所は分かりませんが、周辺諸国を併呑する中国の帝国主義的な野望を表現した地図として数年前に流布されていたものです。おそろしくもありましたが、あまりに現実離れした荒唐無稽な地図でもあると思いました。

しかし、上の地図に酷似する下の画像の出所ははっきりしています。



上の画像は、安倍政権がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)と並行して参加を進めているRCEP(アールセップ: 東アジア地域包括的経済連携)の参加国の地図です。

RCEP、TPP相次ぎ会合 関税分野で本格協議 19~23日

日本が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と、環太平洋連携協定(TPP)交渉の閣僚会合が19~23日、ブルネイのバンダルスリブガワンで相次いで開かれる。アジア・太平洋地域の大型の経済連携交渉を加速化するためで、TPP閣僚会合では焦点である関税分野の協議を本格化させる見通しだ。日本にとってセンシティビティー(慎重を要する分野)である農林水産分野の関税をどう守るのか、最初の正念場を迎えることになる。

(出典: 日本農業新聞 2013年8月19日)

TPPがアメリカが主導する経済統合の枠組みならば、RCEPは中国が主導する経済統合の枠組みです。

TPPが、当初はシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4つの小国間でスタートし、その後アメリカが主導するようになったように、RCEPもASEANが提唱したものでありながら、実質的に中国が主導しているという点でも、この二つは似ています。

中国がTPP参加に前向きであるというニュースが以前流れましたが、中国がTPPに参加するにせよ参加しないにせよ、アメリカの主導するTPPと、中国の主導するRCEPは、いずれFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)へと統合されていきます。



日本が中国に併呑されるとしたら、日本が中国と大々的な全面戦争をした結果、敗北して中国に併呑されるわけではなく、戦争などすることもなく、静かに平和裏のうちに、併呑されていくのです。



しかも、その併呑は、一部の「保守」が味方だと信じてすがっているアメリカを介して行われていきます。アメリカと中国という二大グローバル国家が接近し融合していく、その狭間で、日本は大きなクジラの胃袋の中に放り込まれて、跡形もなく融解していきます。

冷戦時代に、アメリカにすがることでソ連の脅威を生き延びた成功体験をいまだにひきずって、「特亜」が嫌いだからアメリカにすがればよいと単純に考える彼らは、アメリカと中国が、冷戦時代の米ソのような対立関係にはなく、融和と接近をこれから一層深めていくという点を見誤っています。

このことは、アメリカに渡る中華系移民の数が年々増えているという事実を取り上げても、簡単に理解できる話です。中華系アメリカ人たちは、アメリカ国内で経済力や政治力を今後ますます強めていきます。アメリカそのものが多かれ少なかれ中国化していけば、アメリカに傾斜することが「特亜」から逃れるための解にはなりえないことは、自明のことです。

「アメリカの侵略は資本を押し立てて行われる『資本による侵略』であり、ロシアの侵略は『武力による領土侵略』であり、シナの展開は『民族移住的な侵略』である。」

上の言葉は、長野朗(1888~1975年)という中国専門家が戦前に執筆し、戦後GHQによる焚書の対象となった書物からの引用です。

「資本による侵略」「武力による領土侵略」「民族移住的な侵略」

この中の一つが契機となって他を誘発する。そして三つが渾然と一つになって展開するのが、現代のグローバリズムです。

たとえば、

尖閣の危機を煽る→日米強化の必要性の強調→TPPなどの構造改革や規制緩和→移民の推進

と連動していくように。

このグローバリズムの展開を日本国内で推進する役割を担っているのが、安倍晋三という男です。



「ではいかにして、成長を図るのか。国を開くこと、日本の市場を、オープンにすることです。これは、政治家となって以来、私の中に流れる一貫した哲学でした。7年前に総理となったとき、私は、日本とASEANのEPAを締結するよう、交渉を急がせました。今回、再び総理となって最初の課題が、米国を中心とするTPP、そしてEUとのEPAに、果たして乗り出すべきか否かでした。TPPへの反対は、自民党を支持した皆さんにもありました。私は、全力で、説得しました。そのうえで、交渉参加に断を下しました。
私が追い求める日本とは、世界に対してどこまでも、広々と、オープンにつながる日本です。」

「世界から、ヒト、モノ、カネを呼び込んで、それを成長の糧としてまた大きくなる。そんな日本をつくる闘いが、私の取り組む闘いです。」

「私の成長戦略は、官僚たちに書かせた、ただのエッセイではあり得ません。私がアンダーライトし、実行するものです。」

「そして選挙が終わったらどうするか。私はこれからの3年を、集中的な改革の期間と位置付け、持てる政治力を、投入します。固い、岩盤のような日本の規制を、私自身をドリルの刃(やいば)として、突き破ろうと思っています。」

(出典: 平成25年6月19日: 安倍晋三によるロンドンでの講演)
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No title

WJFプロジェクトとは何か 少しでていますが、戦争は武器でやるものとは限りません。
1945年に戦争は終わったことになっていますが、実際は終わってなく、戦争の内容が情報戦に
変わっただけの気がします。
で、情報戦で日本は負け続けているのです。
http://www.asyura2.com/13/senkyo158/msg/554.html
http://www.asyura2.com/13/senkyo158/msg/191.html
(某掲示板の記事で申し訳ないです。)
あと、天皇家につきましてもアメリカはサッカーJリーグではないですが、100年計画を考えているような気がします。
米国の連合軍最高司令官総司令部(GHQ)から、ほとんどの宮家の廃絶と庶系庶子の相続禁止(側室制度の廃止)を押し付けられ、皇室典範が皇位継承権があると認める男系男子の誕生確率を著しく引き下げられてしまいました。GHQが自らは手を汚さずに数十年後に天皇制を自然消滅させようとしたとも考えられるのではないのでしょうか。

ブログ主の本を注文しました。

独りファシズムと略奪者のロジックという本を注文しました。私の周りの人達に日本の状況を説明しても納得してくれないのでこの本を見せてやろうと思います。
消費税増税
水道民営化
発送電分離
高校教科書無料配布所得制限
介護保険自己負担率増加
高齢者国民健康保険負担割合増加
郵政民営化
外国資本に開放
限定正社員
英語強化
中東に自衛隊派遣
原発再稼働
汚染水漏れ放置
年金減額法
生活保護支給率制限
秘密保全法

日本は既に国家という枠組みは崩れている
必ず10年以内に破綻するから自分の身の振り方を考えておいたほうがいい
国は日本を捨てている等々 同調できることばかりだった。
議員に抗議したり、チラシのポスも無駄に終わるかもしれないけど、少しでも日本の現状を知ってほしいから続けているが、日本破綻に向けての心の準備の段階に入っているのかもしれないと思うこのごろです。
http://alisonn.blog106.fc2.com/blog-date-201308.html

No title

より大きな集団化の中で意図を持った者が上に立つのは世の常であり、日本人の多くが危機感を抱くことなく横目に見ているグローバル化が、国と国との相互関係などと言い切れるような物ではないという事を感じます。




その先鋒が(保守を偽装する)安倍政権などとは努々思っていない、安倍支持者低層。
それ以外の者等は薄々感づいてるか分かってても支持を続ける、分け前に与る層の人らか、保守国家日本の到来という夢を壊されたくない、目を覚ましたくない人達でしょう。
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WJFプロジェクトは、日本の主権、伝統、国柄を守る保守的な観点から、安倍政権が推し進めるTPP参加、構造改革、規制緩和、憲法改正、安保法制、移民受入などのグローバル化政策に反対しています。
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参考記事; 道州制: 何が問題なのか
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