「1000万人移民計画」は実行に移されている
「未来の日本人が『移民が日本の危機を救ってくれた』と感謝する社会の実現」を目指して。
昨日2014年6月11日、「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」が、参議院本会議で可決され、最終的に成立しました。
主に自民党が中心に推進してきた日本の移民国家化に関するこれまでの推移を、資料と共にまとめてみました。
特に注目していただきたいのは、自民党の「外国人材交流推進議員連盟」が2008年に作成し、「1000万人移民計画」が初めて提言された、「人材開国!日本型移民政策の提言 世界の若者が移住したいと憧れる国の構築に向けて」という提言書です。
ご覧のように、頭のいかれたカルト宗教の信者が書いたのではないかと疑われるぐらい常軌を逸した提言書なのですが、これを政権与党の国会議員たちが書いていたという事実に空恐ろしさを感じます。
一見「1000万人移民計画」という狂気の政策は未実現のまま頓挫しているように思われがちですが、国籍法改正、入管法改正、住民基本台帳法の改正、高度人材ポイント制の導入、外国人看護師・介護福祉士の受け入れ、大規模な留学生受け入れ、留学生の国内就職支援、TPP等による経済連携協定に基づく移民の受け入れなど、この提言書で掲げられていた政策の多くが、その後、麻生政権、野田政権、安倍政権によって一つ一つ着実に実行に移されており、この提言書が指し示す方向を一貫して目指しながら政治が進行していることがわかります。
ここでは部分的にしか引用しませんでしたが、ぜひこの提言書の全文に目を通していただきたいと思います。
安倍政権による今回の入管法の改正も、出来事の推移から切り離してその一点だけを見てしまうとその意味を正しく読み解けない場合もあるかもしれませんが、2000年以降の流れの中に位置づければ、その意味は自ずと明らかになるはずです。
注意しなくてはならない点は、民主党が外国人に日本を明け渡そうとしていた「売国政党」であるのに比して、自民党は外国人から日本を守ろうとする「愛国政党」であるかのようにみせかけていた政治的なプロパガンダと裏腹に、外国人受け入れを積極的に推進してきたのは自民党なのであり、「自民党(善)vs民主党(悪)」などという対立関係は全く存在しないという事実。
また、麻生太郎や安倍晋三など、「愛国政治家」としてさんざん喧伝されてきた政治家による政権ほど、移民受け入れに積極的であり、「1000万人移民計画」を提言するこの奇怪な文書に記された政策の多くを実行に移している事実です。
ちなみに、1000万人移民計画を推進した自民党の「外国人材交流推進議員連盟」のメンバーには、次の三つの共通点があります。
それでは、2000年以降の日本の移民国家化への流れを、資料を元に、一つ一つたどっていきましょう。
○2000年1月、小渕内閣「21世紀日本の構想」懇談会が、「移民政策へ踏み出す」ことを提言。
○2006年5月、小泉内閣「経済財政諮問会議」策定の「グローバル戦略」の中で、麻生内閣と第二次安倍内閣で改正される入管法改正原案、民主党が導入する「高度人材ポイント制」の原案が提案される。
○2007年04月、第一次安倍内閣の「教育再生会議」で「100万人留学生計画」が浮上。「アジア・ゲートウェイ」戦略会議も、留学生受入の拡大を提言。
○2008年6月、自由民主党「外国人材交流推進議員連盟」が「人材開国!日本型移民政策の提言 世界の若者が移住したいと憧れる国の構築に向けて」という提言書をまとめ、「1000万人移民計画」を福田内閣に提言する。この提言書の中に掲げられた政策の多くは、麻生内閣、野田内閣、第二次安倍内閣を通して実現されている。
○2008年7月、福田内閣「三十万人留学生計画」骨子を策定する。
○2008年12月 麻生政権、日本人の父か母が認知さえすれば婚外子でも日本国籍を取得できるように国籍法を改正する。
○2009年7月、麻生政権が、「出入国管理及び難民認定法」「住民基本台帳法」を改正し、各在留資格の上限が3年から5年に延長され、三ヶ月以上、日本に在留する外国人も「住民基本台帳法」の適用対象となり、日本人と同様に住民票を作成できるようになった。これに伴い、3ヶ月以上日本に在留する外国人は国民健康保険に加入するように定められ、外国人の通称名にも初めて法的根拠が与えられた。この法改正に基づく新しい在留管理制度は、民主党政権下の2012年7月から施行された。
○2012年5月、自民党「外国人材交流推進議員連盟」が2008年に作成した提言書「人材開国!日本型移民政策の提言 世界の若者が移住したいと憧れる国の構築に向けて」の中で提案し、麻生内閣の内閣官房「高度人材受入推進会議」の報告書の中でも提案されていた「高度人材ポイント制」が、民主党の野田内閣によって導入される。これにより、「高度人材外国人」に認定された外国人は5年で永住資格を申請できるようになった。
○2014年6月11日、第二次安倍内閣、「出入国管理及び難民認定法」を改正し、高度人材外国人用に、三年の在留歴で申請できる無期限の在留資格を新設。無期限の在留資格取得後も親や家事使用人の在留が認められる。しかも、親は実親でなくともよい。
主に自民党が中心に推進してきた日本の移民国家化に関するこれまでの推移を、資料と共にまとめてみました。
特に注目していただきたいのは、自民党の「外国人材交流推進議員連盟」が2008年に作成し、「1000万人移民計画」が初めて提言された、「人材開国!日本型移民政策の提言 世界の若者が移住したいと憧れる国の構築に向けて」という提言書です。
「人口危機に立ち向かうため日本は『移民国家』へ移行する」と政治が決断すれば、国際社会は国の形を「多民族国家」に変える究極の構造改革を評価し、「日本買い」に転じるだろう。
厳しい試練の時を迎えて、日本の未来に危機感を抱く国民が移民国家建設のため立ち上がれば、50年間で1000万人規模の移民受け入れを達成することも決して夢でない。
日本型移民政策は、日本人口の10%を移民が占める未来の日本人が、「移民が日本の危機を救ってくれた」と感謝し、「世界で保護を求めている人々の救済に日本が貢献した」と誇りを持てる社会の実現を目標とする。
ご覧のように、頭のいかれたカルト宗教の信者が書いたのではないかと疑われるぐらい常軌を逸した提言書なのですが、これを政権与党の国会議員たちが書いていたという事実に空恐ろしさを感じます。
一見「1000万人移民計画」という狂気の政策は未実現のまま頓挫しているように思われがちですが、国籍法改正、入管法改正、住民基本台帳法の改正、高度人材ポイント制の導入、外国人看護師・介護福祉士の受け入れ、大規模な留学生受け入れ、留学生の国内就職支援、TPP等による経済連携協定に基づく移民の受け入れなど、この提言書で掲げられていた政策の多くが、その後、麻生政権、野田政権、安倍政権によって一つ一つ着実に実行に移されており、この提言書が指し示す方向を一貫して目指しながら政治が進行していることがわかります。
ここでは部分的にしか引用しませんでしたが、ぜひこの提言書の全文に目を通していただきたいと思います。
安倍政権による今回の入管法の改正も、出来事の推移から切り離してその一点だけを見てしまうとその意味を正しく読み解けない場合もあるかもしれませんが、2000年以降の流れの中に位置づければ、その意味は自ずと明らかになるはずです。
注意しなくてはならない点は、民主党が外国人に日本を明け渡そうとしていた「売国政党」であるのに比して、自民党は外国人から日本を守ろうとする「愛国政党」であるかのようにみせかけていた政治的なプロパガンダと裏腹に、外国人受け入れを積極的に推進してきたのは自民党なのであり、「自民党(善)vs民主党(悪)」などという対立関係は全く存在しないという事実。
また、麻生太郎や安倍晋三など、「愛国政治家」としてさんざん喧伝されてきた政治家による政権ほど、移民受け入れに積極的であり、「1000万人移民計画」を提言するこの奇怪な文書に記された政策の多くを実行に移している事実です。
ちなみに、1000万人移民計画を推進した自民党の「外国人材交流推進議員連盟」のメンバーには、次の三つの共通点があります。
1. 日韓海底トンネル推進議員連盟所属であること
2. 日韓議員連盟所属であること
3. パチンコ業界とつながりがあること
(参考記事: WJFプロジェクト「1000万人移民計画と自民党に関するQ&A」)
それでは、2000年以降の日本の移民国家化への流れを、資料を元に、一つ一つたどっていきましょう。
○2000年1月、小渕内閣「21世紀日本の構想」懇談会が、「移民政策へ踏み出す」ことを提言。
(4)移民政策へ踏み出す
日本に居住する外国人の数は総人口の1.2%を超えた。居住外国人のうちでは、新たに目的をもって来日した外国人の割合が65%に上る。とは言え、外国人の総人口比は先進国では決して高くなく、日本では「定住外国人政策」が「出入国管理政策」の一環で考えられてきたものの、法的地位、生活環境、人権、居住支援などが総合的に勘案された外国人政策は未発達のままで来た。
しかし、グローバル化に積極的に対応し、日本の活力を維持していくためには、21世紀には、多くの外国人が普通に、快適に日本で暮らせる総合的な環境を作ることが不可避である。一言で言えば、外国人が日本に住み、働いてみたいと思うような「移民政策」をつくることである。国内を民族的にも多様化していくことは、日本の知的創造力の幅を広げ、社会の活力と国際競争力を高めることになりうる。
ただ、一気に門戸を開放し、自由に外国人の移住を図るのは望ましくない。日本社会の発展への寄与を期待できる外国人の移住・永住を促進する、より明示的な移住・永住制度を設けるべきである。そして、日本で学び、研究している留学生に対しては、日本の高校・大学・大学院を修了した時点で、自動的に永住権が取得できる優遇策を考えるべきである。
(出典: 「21世紀日本の構想」懇談会:「日本のフロンティアは日本の中にあるー自立と協治で築く新世紀」2000年1月18日)
○2006年5月、小泉内閣「経済財政諮問会議」策定の「グローバル戦略」の中で、麻生内閣と第二次安倍内閣で改正される入管法改正原案、民主党が導入する「高度人材ポイント制」の原案が提案される。
高度人材の受入れ拡大に向けた入国管理に係る制度面の整備については、以下の方向で対応する。
・ 在留期間の上限の見直しについては、一部の外国人研究者や情報処理技術者について特区において5年の在留期間を認めていた措置を全国展開するとともに、現在認められていないカテゴリーについても、具体的に高度人材であることが明らかになれば、その勤務先に一定の要件を設けるなどの措置を講じたうえで、順次5年の在留期間を認めていく。
・ 卒業後に起業準備を行う留学生への在留資格の付与については、一定の条件の下に認める方向で対応する。
・ 「家族滞在」の在留資格が認められる範囲の拡大については、 高度人材に関しては、その扶養する「子」や「配偶者」だけでなく、「親」についても滞在を認める方向で対応する。
なお、在留資格取得に必要とされる実務経験年数の要件緩和については引き続き検討を進める。
(出典: 経済財政諮問会議「グローバル戦略」2006年5月18日)
○2007年04月、第一次安倍内閣の「教育再生会議」で「100万人留学生計画」が浮上。「アジア・ゲートウェイ」戦略会議も、留学生受入の拡大を提言。
(川勝主査)「1980年代、資料の数字にございますように、留学生が1万人だったのですが、20年たって、10万人に、つまり10倍になりました。
今日本には大学生・大学院生は300万人います。20年後を目途に今の10万人台を10倍にすると100万人。日本人学生300万人に留学生100万を足せば、400万になります。4人に1人が外国人になるということです。
私は、2025年、今からほぼ20年後のイノベーション25に向けて、高等教育の思い切った国際化のために、留学生100万人計画、つまり4人に1人は外国人学生にするという数値目標を入れるのがよいと思います。」
(出典: 内閣官房教育再生会議担当室「第9回教育再生分科会 議事録」2007年4月18日)
3.アジア高度人材ネットワークのハブを目指した留学生政策の再構築 ~ 新たな国家戦略策定に向けた関係者の力の結集
アジア、世界の優れた人材を積極的に迎え入れ、また、世界で活躍できる人材の育成において中心的な役割を担い、いわば「アジアにおける高度人材ネットワー クのハブ」を目指していくことは、日本経済の持続的な成長を実現し、日本のソフトパワーの強化する上でも、極めて重要である。
中でも、留学生交流の拡大は、そうした人材ネットワークの構築に向けた将来への大いなる投資であり、産業界や地域社会を含め、外国人に魅力ある環境を社会全体で創っていく上での試金石でもある。将来の日本やアジアのイノベーションの担い手、日本の魅力の理解者・発信者、日本のサポーターを育てるという意義を踏まえ、国家戦略的課題として再認識すべきである。
こうした観点から、「10万人受入れ計画」策定から四半世紀が経過し、国内外の状況も大きく変化したことも踏まえ、産学官の力を結集して、下記の「新たな留学生戦略策定に向けた基本方針」を踏まえ、今後の取り組みを早急に具体化し、新たな留学生戦略を策定する。
なお、外国人にとっての日本留学の魅力(強み・オリジナリティ)を評価・再認識し、 高めていくことが、留学生獲得に向けた様々な取組みの大前提であり、特に、大学の研究・教育を国際的に魅力あるものにしていくことが重要であることは、言うまでもない。
(出典: アジア・ゲートウェイ戦略会議「アジア・ゲートウェイ構想」2007年5月16日)
○2008年6月、自由民主党「外国人材交流推進議員連盟」が「人材開国!日本型移民政策の提言 世界の若者が移住したいと憧れる国の構築に向けて」という提言書をまとめ、「1000万人移民計画」を福田内閣に提言する。この提言書の中に掲げられた政策の多くは、麻生内閣、野田内閣、第二次安倍内閣を通して実現されている。
人材開国!日本型移民政策の提言 世界の若者が移住したいと憧れる国の構築に向けて
I 政策の理念
1.移民立国で日本の活性化を図る
新しい国づくりのためには、適正な移民受け入れを進める「移民政策」を打ち出す必要がある。国民のコンセンサスも不可欠だ。だが、何より求められるのは、移民開国への国民の決意と覚悟がいることである。外国人を移民として迎える以上、彼らが安心して働くことができる職場を用意しなければならない。移民ニーズに対応した社会経済制度の改革が必要である。
日本が未曾有の数の移民を受け入れるのであれば、日本民族と他の民族がお互いの立場を尊重し合って生きる社会、すなわち「多民族共生社会」を作るという日本人の覚悟が求められる。
そのとき日本人に求められるのは、自らの民族的アイデンティティを確認し、かつ異なる民族すべてを対等の存在と認める心構えを持つことである。日本民族の根本精神を堅持するとともに、少数民族の固有文化を尊重しなければならない。
(中略)
改革に消極的だとして海外から「日本売り」が言われている今こそ、政治の責任で、人口危機にある日本がどんな国家を目指すのか、明確なビジョンを発信すべきである。
「人口危機に立ち向かうため日本は『移民国家』へ移行する」と政治が決断すれば、国際社会は国の形を「多民族国家」に変える究極の構造改革を評価し、「日本買い」に転じるだろう。
2.日本文明の底力を活かす
極東に位置する島国であり、社会の均一性が相対的に高いとみなされている日本は、移民の受け入れに適さないという声がある。欧米に比べて移民の受け入れ経験が少ないことは事実である。
しかし、厳しい試練の時を迎えて、日本の未来に危機感を抱く国民が移民国家建設のため立ち上がれば、50年間で1000万人規模の移民受け入れを達成することも決して夢でない。幸い日本には、移民が快適に暮らすことができる制度、精神風土、環境が整っている。
第1に、長年にわたり蓄積されてきた産業技術と、卓越する世界企業の存在である。高い生産効率を実現することで世界経済を先導してきた産業立国としての日本のネームバリューは、気概に満ちた世界の若者を惹きつけるに違いない。
高い教育水準と充実した高等教育施設も、今後、留学生の受け入れを大幅に増やすための教育資源となる。
第2に、日本社会には「人の和」や「寛容の心」を重んじる精神的基盤がある。日本の社会は、宗教を見ても神道・仏教・キリスト教などが仲良く共存している。古来、日本は「和をもって貴しとなす(十七条憲法)」を基本とする国柄であった。多様な価値観や存在を受け入れる「寛容」の遺伝子を脈々と受け継いできた日本人は、世界のどの民族も成功していない「多様な民族との共生社会」を実現する潜在能力を持っている。
第3に、恵まれた自然環境と豊穣な文化がある。四季折々の風景、歴史遺産の水田や森林、地方ごとに特色ある日本料理や伝統芸能は、海外からの旅行者にすでに認知されており、今では年間800万人を超す観光客が日本を訪れている。亜熱帯のさんご礁、日本情緒豊かな温泉街、良質の雪に恵まれたスキーリゾートにはリピーターも多い。この「癒しの島」には理想の移住地としての条件が備わっている。
第4に、日本社会にすでにいる「移民の背景を持つ人々」の存在がある。何世代にもわたって多くの苦難を乗り越えて社会的地位を確立してきたオールドカマーに加えて、ニューカマーも来日からすでに20年を経て、200万人を大きく超える外国出身者とその子孫は、市民・永住者・定住者として、日本社会に根を張って生活している。すでに日本で生きるノウハウを身につけた彼らは、新来の移民たちと地域社会をつなぐ貴重な人材である。
日本は移民受け入れの後発国としての利点もある。カナダ等の伝統的な移民国家の経験に学び、日本と似通った国家形成の歴史を持つ欧州各国の最近の問題状況も参考にできる。日本型移民政策は、日本人口の10%を移民が占める未来の日本人が、「移民が日本の危機を救ってくれた」と感謝し、「世界で保護を求めている人々の救済に日本が貢献した」と誇りを持てる社会の実現を目標とする。
II 日本型移民政策の骨格
1.日本人口の10%を移民が占める「移民国家」へ
欧州の移民先進国の受け入れ数や日本社会の受け入れ能力などを勘案すると、日本は、今後50年で総人口の10%程度の移民を受け入れるのが相当である。
そこで日本政府は、1年以内に「移民国家宣言」を世界に発信する。
【日本が受け入れる移民のカテゴリー】
1. 高度人材(大学卒業レベル)
2. 熟練労働者(日本で職業訓練を受けた人材)
3. 留学生
4. 移民の家族(家族統合の権利保障)
5. 人道的配慮を要する移民(難民、日本人妻等北朝鮮帰国者、その他日本が人道上受け入れを考慮すべき人々)6投資移民(富裕層)
などを想定する。
移民受け入れに際しては、移民先進国の例を参考に、ポイント制の導入など分かりやすい公平なルールを策定する。
2.育成型移民政策を推進する
1)留学生100万人構想
留学生の受け入れを育成型移民政策の要と位置づける。
(中略)
3.日本型移民政策の基盤整備
1)入管法および国籍法の改正
育成型移民政策の観点から、入管法の定める在留資格制度を改正するとともに、同制度の運用を見直す。(1年以内に実施)
【在留資格制度の改正】
1. 技能実習生を受け入れるため「実習」の在留資格を新設する。
2. 介護福祉士など社会福祉関係の業務に従事する外国人を受け入れるため「医療」の在留資格を「医療・社会福祉」に改める。
3. 「留学」および「就学」の在留資格を「留学」に一本化する。
4. 在留期間を最長5年とする。
5. 再入国許可の有効期間を最長10年とする。
国籍法を改正し、永住者の子として日本で出生した者については、出生により日本国籍を付与する(22歳までは二重国籍)。(3年以内に実施)
永住許可制度の運用緩和(入国後7年以内に永住許可)および帰化制度の運用緩和(入国後10年以内に国籍付与)を図る。また、永住許可制度と帰化制度の整合性を図る観点から、永住者に対して日本国籍を付与することを原則とする。(1年以内に実施)
認知した父または母が日本国民である子への国籍付与について、婚姻の有無にかかわらず認める(平成20年6月、最高裁判決を踏まえた改正)。(1年以内に実施)また、日本人の父親の認知を受けていない外国人の子への国籍付与および入国許可についても、人道的見地から弾力的に認める。(1年以内に実施)
2)移民の受け入れおよび外国人の社会統合に関する基本法の整備(3年以内に実施)
移民基本法の制定
日本型移民政策の理念、日本が受け入れる移民の類型および受け入れ枠、移民処遇の基本方針などを定めた「基本法」を制定する。
外国人との共生社会を実現するため「社会統合基本法」を制定する。
3)外国人住民基本台帳制度の創設(1年以内に実施)
○地方自治体が定住外国人に対し各種行政サービス(教育、医療、福祉)を漏れなく提供できる体制を敷くため、外国人住民基本台帳制度を創設する。
4)経済連携協定等に基づく移民の受け入れ
国際法秩序のもとで計画的に移民を受け入れることを内外に表明する。(1年以内に実施)
日本が受け入れる移民の職種と人数を盛り込んだ経済連携協定等を人材送り出し国との間で結び、秩序ある移民受け入れ制度を確立する。(3年以内に実施)
同一職務・労働同一賃金の遵守(同等報酬)を徹底する。
5)移民庁の創設(3年以内に実施) 移民基本法の制定に合わせ、「外国人」という法的地位に関する施策を一元的に実施する国家行政機関として「移民庁」を設置し、専任の国務大臣を置く。
それまでの間、内閣府に「外国人材戦略本部」を設置する。(1年以内に実施)
(後略)
(出典: 自由民主党 外国人材交流推進議員連盟「人材開国!日本型移民政策の提言 世界の若者が移住したいと憧れる国の構築に向けて」2008年7月29日)
○2008年7月、福田内閣「三十万人留学生計画」骨子を策定する。
「留学生30万人計画」骨子の策定について
1.背景
「留学生30万人計画」は、日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界の間のヒト・モノ・カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環として、2020年を目途に30万人の留学生受入れを目指すものです。
このため、日本留学への関心を呼び起こす動機づけや情報提供から、入試・入学・入国の入り口の改善、大学等の教育機関や社会における受入れ体制の整備、卒業・修了後の就職支援等に至る幅広い施策を、上記関係省庁において検討し、このたび、その基本的な考え方や施策の方向性を「留学生30万人計画」骨子としてとりまとめました。
今後、関係省庁は、本計画の実現に向け十分に連携しつつ、施策の具体化を図ることとしています。
2.方策の項目
(1)日本留学への誘い−日本留学の動機づけとワンストップサービスの展開−
(2)入試・入学・入国の入り口の改善−日本留学の円滑化−
(3)大学等のグローバル化の推進−魅力ある大学づくり−
(4)受入れ環境づくり−安心して勉学に専念できる環境への取組−
(5)卒業・修了後の社会の受入れの推進−社会のグローバル化−
(出典: 文部科学省「「留学生30万人計画」骨子の策定について」2008年7月29日)
○2008年12月 麻生政権、日本人の父か母が認知さえすれば婚外子でも日本国籍を取得できるように国籍法を改正する。
国籍法が改正されました
平成20年12月12日,国籍法が改正(平成21年1月1日施行)され,出生後に日本人に認知されていれば,父母が結婚していない場合にも届出によって日本の国籍を取得することができるようになりました。
また,虚偽の届出をした者に対する罰則が設けられました。
国籍法第3条による国籍取得の手続
次の要件に該当する方は,法務大臣に届け出ることによって日本の国籍を取得することができます。
新しい国籍法第3条の要件
○国籍を取得しようとする者が・・・
・父又は母に認知されていること
・20歳未満であること
・日本国民であったことがないこと
・出生したときに,認知をした父又は母が日本国民であったこと
○認知をした父又は母が,現に(死亡している場合には,死亡した時に)日本国民であること
(出典: 法務省「国籍法が改正されました」2008年12月12日)
○2009年7月、麻生政権が、「出入国管理及び難民認定法」「住民基本台帳法」を改正し、各在留資格の上限が3年から5年に延長され、三ヶ月以上、日本に在留する外国人も「住民基本台帳法」の適用対象となり、日本人と同様に住民票を作成できるようになった。これに伴い、3ヶ月以上日本に在留する外国人は国民健康保険に加入するように定められ、外国人の通称名にも初めて法的根拠が与えられた。この法改正に基づく新しい在留管理制度は、民主党政権下の2012年7月から施行された。
新しい在留管理制度はどういう制度なの?
新しい在留管理制度は,外国人の適正な在留の確保に資するため,法務大臣が,我が国に在留資格をもって中長期間在留する外国人を対象として,その在留状況を継続的に把握する制度です。
この制度の対象者には,氏名等の基本的身分事項や在留資格,在留期間が記載され,顔写真が貼付された在留カードが交付されます。
また,この制度の導入により在留状況をこれまで以上に正確に把握できるようになりますので,在留期間の上限をこれまでの3年から最長5年とすることや,出国の日から1年以内に再入国する場合の再入国許可手続を原則として不要とするみなし再入国許可制度の導入など適法に在留する外国人の方々に対する利便性を向上する措置も可能になります。
なお,新しい在留管理制度の導入に伴って外国人登録制度は廃止されることになります。
(出典: 法務省入国管理局「新しい在留管理制度がスタート!」)
我が国に入国・在留する外国人が年々増加していること等を背景に、市区町村が、日本人と同様に、外国人住民に対し基礎的行政サービスを提供する基盤となる制度の必要性が高まりました。
そこで、外国人住民についても日本人と同様に、住民基本台帳法の適用対象に加え、外国人住民の利便の増進及び市区町村等の行政の合理化を図るための、「住民基本台帳法の一部を改正する法律」が第171回国会で成立し、平成21年7月15日に公布、平成24年7月9日に施行されました。
本法律の施行により、外国人住民に対して住民票が作成され、翌年平成25年7月8日から、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)及び住民基本台帳カード(住基カード)についても運用が開始されました。
(出典: 総務省「外国人住民に係る住民基本台帳制度」)
○2012年5月、自民党「外国人材交流推進議員連盟」が2008年に作成した提言書「人材開国!日本型移民政策の提言 世界の若者が移住したいと憧れる国の構築に向けて」の中で提案し、麻生内閣の内閣官房「高度人材受入推進会議」の報告書の中でも提案されていた「高度人材ポイント制」が、民主党の野田内閣によって導入される。これにより、「高度人材外国人」に認定された外国人は5年で永住資格を申請できるようになった。
高度人材外国人の受入れを促進するため,高度人材外国人に対しポイント制を活用した出入国管理上の優遇措置を講ずる制度を平成24年5月7日より導入しています。
高度人材外国人の活動内容を,「高度学術研究活動」,「高度専門・技術活動」,「高度経営・管理活動」の3つに分類し,それぞれの特性に応じて,「学歴」,「職歴」,「年収」などの項目ごとにポイントを設け,ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合に,出入国管理上の優遇措置を与えることにより,高度人材外国人の我が国への受入れ促進を図ることを目的としています。
(出典: 法務省入国管理局「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」2012年5月7日)
○2014年6月11日、第二次安倍内閣、「出入国管理及び難民認定法」を改正し、高度人材外国人用に、三年の在留歴で申請できる無期限の在留資格を新設。無期限の在留資格取得後も親や家事使用人の在留が認められる。しかも、親は実親でなくともよい。
出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案要綱
第一 在留期間に関する規定の整備 高度専門職の在留資格(第十四の一2に係るものに限る。)に伴う在留期間の上限を設けないこと(第二条の二第三項関係)。
(出典: 法務省:「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案要綱」2014年6月11日成立)
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