本物を見抜く目: 三橋貴明、また嘘をつく
嘘にまみれた時代を生きぬくために。
偽作曲家・佐村河内守の問題が話題になっています。
昨年の3月に放送された佐村河内守を取り上げたNHKスペシャル「魂の旋律、音を失った作曲家」には、聴衆が感動の涙を流し、作曲家の三枝成彰氏や、指揮者の大友直人氏や、音楽学者の野村由紀夫氏らが佐村河内守を絶賛する様子が映されていました。


メディアや、レコード会社や、音楽の専門家たちが、本当に佐村河内守の嘘を見抜いていなかったのか。あるいは、嘘だと分かっていながら嘘に気づかないふりをして、佐村河内守を不自然に持ち上げていたのか、真相は定かではありませんが、「裸の王様」に透明な服を着せて、「インチキな仕立て屋」たちが歴史的な大作曲家を組織的にでっち上げていった様は、自称「保守」チャンネルや、自称「保守」言論人たちが、安倍晋三だの田母神敏雄だのを不自然に持ち上げ、保守・愛国の救世主として組織的にでっち上げている様子とそっくりです。
佐村河内守の事例と同様に、「保守」言論界も、良識をもって見れば誰でも簡単に見抜くことのできる、笑止千万な嘘にまみれています。
例えば、下の動画で取り上げられている三橋貴明の発言(文化放送『おはよう寺ちゃん活動中』2013年10月23日放送)に耳を傾けてみてください。
「国家戦略特区」の危険性を語りながら、三橋は次のように語っています。(3:50あたりから)
なにが、
ですか。
三橋貴明は、「国家戦略特区」に代表されるような安倍政権の新自由主義への傾斜が顕著になったのは、昨年9月末からであり、安倍政権が突然豹変したかのように語っていますが、これは安倍政権を観察してきた人なら誰でも分かる明らかな嘘です。
このような白々しい嘘を公共の電波で堂々と語る三橋貴明のずうずうしさは、テレビカメラの前でのたうち回る演技をしていた佐村河内守のずうずうしさと全く同一のものです。

そもそも「国家戦略特区」の方針が決定されたのは昨年の4月。「国家戦略特区」を含むアベノミクス第三の矢の「成長戦略」の内容が発表され、閣議決定されたのは昨年の6月です。
ロンドン・シティでの講演で、安倍晋三が新自由主義者としての本質をむき出しにしたのも、昨年6月のことです。
参院選前の6月の時点で、安倍政権の新自由主義への傾斜は誰の目にも明らかになっていたにも関わらず、三橋貴明は安倍政権を批判するどころか、安倍政権に危惧を抱く人々をたしなめて、次のように語っていました。
安倍政権の新自由主義への傾斜は参院選前に既に誰の目にも明らかになっていたにも関わらず、三橋貴明は気づかないふりをしてとぼけ続け、参院選では安倍政権への支持を呼びかけ、衆参のねじれを解消してしまった。
自らが安倍政権が暴走する条件を作り出しておきながら、参院選が終わり、10月1日に消費税増税の決定が発表され、安倍政権に対する批判が高まると、今度は手のひらを返したように、安倍政権が突然豹変したような嘘を公共の電波で平気で語っていたわけです。
このような嘘を重ねる三橋も三橋ですが、こんな分かりやすい子供騙しの嘘に騙される方も、騙される方です。
この人間離れしたほど面の皮の厚い男は、「国家戦略特区は日本を壊す」「安倍政権は狂気の沙汰ではない」などと語りながら、現在、安倍晋三の嫡流を名乗り、国家戦略特区を実行すると公言している田母神俊雄への支持を煽っています。
彼の言葉の通り、国家戦略特区が本当に日本を破壊するものならば、三橋貴明は、国家戦略特区をやらない政治家を支持しなければならないはずなのですが、国家戦略特区は日本を壊すと言いながら、国家戦略特区をやると公言している政治家への支持を煽る。
自称「保守」言論人たちは、これと全く同じ手法をこれまで執拗に反復して人々を欺いています。
自称「保守」言論人たちは、この一貫したやり方で、「保守・愛国」の偽りのヒーローをでっち上げています。
そしてこの矛盾に気づかずに、多くの人たちが彼らの煽動に乗せられて、彼らの醜悪なる愛国詐欺に加担してしまっています。
偽者が跋扈する嘘にまみれたこの時代にあって、本物を見抜き、おかしいことはおかしいと声に出す「正直な子ども」の数が増えていくことを、私たちの国は切実に必要としています。
そして、何よりも、私たち自身が、誰かに煽られたり、誰かを煽ったりするうすっぺらい「偽者」ではなく、少しでも「本物」に近づけるように、自分たちの取り組みを静かに忍耐強く深めていかなくてはならないのだと思います。
「本物」だけが「本物」を見抜くことができるからです。
昨年の3月に放送された佐村河内守を取り上げたNHKスペシャル「魂の旋律、音を失った作曲家」には、聴衆が感動の涙を流し、作曲家の三枝成彰氏や、指揮者の大友直人氏や、音楽学者の野村由紀夫氏らが佐村河内守を絶賛する様子が映されていました。

作曲家・三枝成彰氏
「どこかで新しい21世紀の音楽を作らなきゃいけないんです。その尖兵が佐村河内守さんだと思う。」

音楽学者・野村由紀夫氏
「楽譜を読み込んでいくと非常に繊密にかかれていて、言ってみれば一音符足りとも無駄な音がない。 これは相当に命を削って生み出された曲だと思いました。初めてこの曲を聴いた時には私は素直に感動いたしました。そして非常に重い曲だなと思いました。 言葉で言い表すこと自体が非常に薄っぺらになってしまう。 1000年ぐらい前の音楽から現代に至るまでの音楽史上のさまざまな作品を知り尽くしていないとこういう作品は書けません。 この音楽は本当に苦悩を極めた人からしか生まれてこない音楽だと思います。」
メディアや、レコード会社や、音楽の専門家たちが、本当に佐村河内守の嘘を見抜いていなかったのか。あるいは、嘘だと分かっていながら嘘に気づかないふりをして、佐村河内守を不自然に持ち上げていたのか、真相は定かではありませんが、「裸の王様」に透明な服を着せて、「インチキな仕立て屋」たちが歴史的な大作曲家を組織的にでっち上げていった様は、自称「保守」チャンネルや、自称「保守」言論人たちが、安倍晋三だの田母神敏雄だのを不自然に持ち上げ、保守・愛国の救世主として組織的にでっち上げている様子とそっくりです。
佐村河内守の事例と同様に、「保守」言論界も、良識をもって見れば誰でも簡単に見抜くことのできる、笑止千万な嘘にまみれています。
例えば、下の動画で取り上げられている三橋貴明の発言(文化放送『おはよう寺ちゃん活動中』2013年10月23日放送)に耳を傾けてみてください。
「国家戦略特区」の危険性を語りながら、三橋は次のように語っています。(3:50あたりから)
三橋「もう正気の沙汰じゃない、安倍政権。申し訳ないけど、これは。」
寺島「安倍政権どうしてそんなになっちゃったんですか。」
三橋「いきなり変わりましたよね。9月末ぐらいからちょっとおかしいなあと思ってたんですよ。もともと竹中さんを産業競争力会議に入れた時点であやしかったんだけど、あの頃から加速してきましたね。何考えてるんですかと。」
なにが、
「いきなり変わりましたよね。9月末ぐらいからちょっとおかしいなあと思ってたんですよ。」
ですか。
三橋貴明は、「国家戦略特区」に代表されるような安倍政権の新自由主義への傾斜が顕著になったのは、昨年9月末からであり、安倍政権が突然豹変したかのように語っていますが、これは安倍政権を観察してきた人なら誰でも分かる明らかな嘘です。
このような白々しい嘘を公共の電波で堂々と語る三橋貴明のずうずうしさは、テレビカメラの前でのたうち回る演技をしていた佐村河内守のずうずうしさと全く同一のものです。

そもそも「国家戦略特区」の方針が決定されたのは昨年の4月。「国家戦略特区」を含むアベノミクス第三の矢の「成長戦略」の内容が発表され、閣議決定されたのは昨年の6月です。
政府は、4月17日、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)を開き、首相主導で規制緩和や税制優遇に取り組む「国家戦略特区」を創設する方針を示し、6月5日には、成長戦略の素案を発表した。14日にも閣議決定する方針である。都市の国際競争力を高めて国内外のヒト・モノ・カネを呼び込み、経済再生の起爆剤として、アベノミクスの第三の矢である成長戦略の柱に据えるという。その国家戦略特区において、カジノの解禁も検討されることとなっている。カジノ解禁には、観光産業振興、地域活性化、雇用創出、税収増といった大きな効果があるとされる。
(出典: ビジネス・ジャーナル2013年6月9日)
ロンドン・シティでの講演で、安倍晋三が新自由主義者としての本質をむき出しにしたのも、昨年6月のことです。
「ではいかにして、成長を図るのか。国を開くこと、日本の市場を、オープンにすることです。これは、政治家となって以来、私の中に流れる一貫した哲学でした。7年前に総理となったとき、私は、日本とASEANのEPAを締結するよう、交渉を急がせました。今回、再び総理となって最初の課題が、米国を中心とするTPP、そしてEUとのEPAに、果たして乗り出すべきか否かでした。TPPへの反対は、自民党を支持した皆さんにもありました。私は、全力で、説得しました。そのうえで、交渉参加に断を下しました。 私が追い求める日本とは、世界に対してどこまでも、広々と、オープンにつながる日本です。」
「世界から、ヒト、モノ、カネを呼び込んで、それを成長の糧としてまた大きくなる。そんな日本をつくる闘いが、私の取り組む闘いです。」
「私の成長戦略は、官僚たちに書かせた、ただのエッセイではあり得ません。私がアンダーライトし、実行するものです。」
「そして選挙が終わったらどうするか。私はこれからの3年を、集中的な改革の期間と位置付け、持てる政治力を、投入します。固い、岩盤のような日本の規制を、私自身をドリルの刃(やいば)として、突き破ろうと思っています。」
参院選前の6月の時点で、安倍政権の新自由主義への傾斜は誰の目にも明らかになっていたにも関わらず、三橋貴明は安倍政権を批判するどころか、安倍政権に危惧を抱く人々をたしなめて、次のように語っていました。
泥の沼をかき分けるのが面倒になった人たちは、例えば安倍政権の経済政策に構造改革的、新自由主義的な政策の匂いを感じた途端に、「安倍は売国奴だ!もう日本はダメだ!」と、全てを投げ出します。あるいは、「安倍ではダメだ! 日本を抜本的に改革するためには独裁者が必要だ!」などと、分けの分からないことを言い出すわけです。
(出典: 三橋貴明ブログ2013年6月9日)
安倍政権の新自由主義への傾斜は参院選前に既に誰の目にも明らかになっていたにも関わらず、三橋貴明は気づかないふりをしてとぼけ続け、参院選では安倍政権への支持を呼びかけ、衆参のねじれを解消してしまった。
自らが安倍政権が暴走する条件を作り出しておきながら、参院選が終わり、10月1日に消費税増税の決定が発表され、安倍政権に対する批判が高まると、今度は手のひらを返したように、安倍政権が突然豹変したような嘘を公共の電波で平気で語っていたわけです。
「いきなり変わりましたよね。9月末ぐらいからちょっとおかしいなあと思ってたんですよ。」
このような嘘を重ねる三橋も三橋ですが、こんな分かりやすい子供騙しの嘘に騙される方も、騙される方です。
この人間離れしたほど面の皮の厚い男は、「国家戦略特区は日本を壊す」「安倍政権は狂気の沙汰ではない」などと語りながら、現在、安倍晋三の嫡流を名乗り、国家戦略特区を実行すると公言している田母神俊雄への支持を煽っています。
彼の言葉の通り、国家戦略特区が本当に日本を破壊するものならば、三橋貴明は、国家戦略特区をやらない政治家を支持しなければならないはずなのですが、国家戦略特区は日本を壊すと言いながら、国家戦略特区をやると公言している政治家への支持を煽る。
自称「保守」言論人たちは、これと全く同じ手法をこれまで執拗に反復して人々を欺いています。
●TPPは亡国最終兵器だと言いながら、TPPに前のめりな政治家への支持を煽る。
●構造改革は国を壊すと言いながら、構造改革が大好きな政治家への支持を煽る。
●戦後保守はだめだといいながら、戦後保守を体現したような政治家への支持を煽る。
●消費税増税は自殺者を増やすと言いながら、以前から消費税増税に前向きな姿勢を示していた政治家への支持を煽る。
●韓国は嫌いだと言いながら、親韓政治家への支持を煽る。
●外国人参政権反対と言いながら、日本を外国人だらけにする移民政策を推進する政治家への支持を煽る。
●パチンコは悪だと訴えながら、パチンコ業界と癒着しカジノ解禁まで行おうとしている政治家への支持を煽る。
●保守だ、愛国だと訴えながら、保守的政策とは正反対の壊国的な政策を進める政治家への支持を煽る。
自称「保守」言論人たちは、この一貫したやり方で、「保守・愛国」の偽りのヒーローをでっち上げています。
そしてこの矛盾に気づかずに、多くの人たちが彼らの煽動に乗せられて、彼らの醜悪なる愛国詐欺に加担してしまっています。
偽者が跋扈する嘘にまみれたこの時代にあって、本物を見抜き、おかしいことはおかしいと声に出す「正直な子ども」の数が増えていくことを、私たちの国は切実に必要としています。
そして、何よりも、私たち自身が、誰かに煽られたり、誰かを煽ったりするうすっぺらい「偽者」ではなく、少しでも「本物」に近づけるように、自分たちの取り組みを静かに忍耐強く深めていかなくてはならないのだと思います。
「本物」だけが「本物」を見抜くことができるからです。
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