安倍晋三は「正しい歴史認識」をもっているか

「歴史問題」と「構造改革」は表裏一体である。
「日本は前近代的な悪の国家である。」

「だから、我々の改革を受け入れよ。」

これが、「歴史問題」と「構造改革」の本質的な意味です。



上の図式で言う「構造改革」とは、あくまで、小泉政権が再定義した意味での「構造改革」のことです。 つまり、日本の主権を放棄し、「年次改革要望書」等に明記されたアメリカの対日要求をそのままなぞる形で、大方の日本人の利益に反する規制緩和、グローバル化、新自由主義的制度改変、外国勢力への利益誘導を断行する売国的な「改革」のことです。

左翼の批判を封じるためか、本来は左翼の用語である「構造改革」という言葉をあえて使用した小泉政権の大衆宣伝の用意周到さは、安倍政権と共通するものがあります。

「歴史問題」とは「構造改革」の論理的な根拠であり、

「構造改革」とは「歴史問題」の論理的な帰結です。

「歴史問題」によって、日本の悪いイメージが世界に流布されるという問題は、それ自身小さからぬ問題であるとしても付随的な問題に過ぎず、「歴史問題」が目指す最終的なゴール地点は、「日本の国を作り替えること」、「日本を日本でなくしてしまうこと」、つまり「構造改革」です。

「歴史問題」にしても、「構造改革」にしても、その背後にあるのは、日本を根底から否定しようとする、日本に対する敵意です。

「安倍さんは、正しい歴史認識をもった希有な政治家だ」

などということがまことしやかに言われていますが、「歴史問題」と「構造改革」が表裏一体のものであるという単純な事実に目を向けるならば、「正しい歴史認識」をもつ政治家が、「構造改革」など推進するはずがないし、安倍晋三のように「構造改革」を嬉々として推進する政治家が、「正しい歴史認識」など持っているはずがないことは明らかです。

「構造改革」に前のめりな安倍晋三自身の言葉をまとめてくださっているポン吉さんのブログから、あらためておさらいしておきましょう。
はっきりと申し上げておきたいことは、5年間小泉総理が進めてまいりました構造改革を私もしっかりと引き継ぎ、この構造改革を行ってまいります。構造改革はしばらく休んだ方がいい、あるいは大きく修正をした方がいいという声もあります。私は、この構造改革をむしろ加速させ、そして補強していきたいと考えております。

そのためにも、しっかりと地方分権を推進してまいります。また、道州制についても視野に入れながら議論を進めていく考えでございます。

(出典: 安倍内閣総理大臣記者会見 平成18年9月26日)
アジアなど海外の成長や活力を日本に取り込むため、お互いに国を開く経済連携協定への取組を強化する。

ヒト・モノ・カネ・文化・情報の流れにおいて、日本がアジアと世界の架け橋となる「アジア・ゲートウェイ構想」を推進します。

(出典: 第165回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説 平成18年9月29日)
自分は、辛酸をなめられた元慰安婦の方々に、人間として、また総理として心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況におかれたことについて申し訳ないという気持ちでいっぱいである。

(出典: キャンプ・デービットにて 平成19年4月27日)
竹中先生の愛国者ぶりがご理解いただけたのではないのかな。

(出典: 創生「日本」7月総会 平成24年7月11日)
TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます。

TPP交渉は既に開始から2年が経過しています。既に合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは、厳然たる事実です。

(出典: 安倍内閣総理大臣記者会見 平成25年3月15日)
国を開くこと、日本の市場を、オープンにすることです。これは、政治家となって以来、私の中に流れる一貫した哲学でした。

TPPへの反対は、自民党を支持した皆さんにもありました。私は、全力で、説得しました。そのうえで、交渉参加に断を下しました。

私が追い求める日本とは、世界に対してどこまでも、広々と、オープンにつながる日本です。

世界から、ヒト、モノ、カネを呼び込んで、それを成長の糧としてまた大きくなる。そんな日本をつくる闘いが、私の取り組む闘いです。

私の成長戦略は、官僚たちに書かせた、ただのエッセイではあり得ません。私がアンダーライトし、実行するものです。

私はこれからの3年を、集中的な改革の期間と位置付け、持てる政治力を、投入します。 固い、岩盤のような日本の規制を、私自身をドリルの刃(やいば)として、突き破ろうと思っています。

(出典: 安倍晋三によるロンドン講演 平成25年6月19日)
規制改革こそ、成長戦略の「一丁目一番地」。時には、国論を二分するようなこともあるでしょう。TPP交渉への参加を決定した時も、そうでした。しかし、私は、成長のために必要であれば、どのような「岩盤」にも、ひるむことなく立ち向かっていく覚悟です。

新しく「国家戦略特区」を創設いたします。小泉内閣が始めた構造改革特区は、地方自治体から提案を受けて、一つひとつ、古い規制に風穴を開けてきました。たくさんの特例が、その後に全国展開され、まさに、規制改革の「切り込み隊長」となってきました。今般、私が提案する「国家戦略特区」は、構造改革特区の考え方を、さらに「面的なもの」へと進化させていくものです。

子ども達が通えるインターナショナルスクールも充実しなければなりません。国内での設置を困難にしているルールは、大胆に見直しを進めていきます。

エネルギー、医療、インフラ整備。が んじがらめの規制を背景に、公的な制度 や機関が、民間の役割を制約している、 いわば「官業」とも言える世界は、今で も、広い分野で残されています。 いずれも、将来の成長が見込まれる産業ばかりです。この「官業」の世界を、大胆に開放していくこと。

(出典:「成長戦略第三弾スピーチ」平成25年6月5日)
日本の成長は、日本人のためだけではない、世界人類のため果たすべき責任でもある。

つまり、徹底的な経済の開放がそのひとつ。貿易や投資における、内外の壁を可能な限り取り払うことです。

外国人が住んで働きやすい街にするのが、もうひとつの目的で、それには、サポーティング・インダストリーが栄える環境にしてやらなくてはなりません。外国人のためのメディカル・サービス、教育サービスが、容易に手に入るようすることなどです。

国家戦略特区は、私、すなわち首相の直轄事業です。私自身がもてる政治資本を進んで投下し、いわば、リスクを取ろうというのです。

(出典: The Huffington Post Japan 2013年7月3日
アベノミクス第三の矢、あるいはTINAについて)
もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました。

TPPをつくるのは、歴史の必然です。

(出典: ニューヨーク証券取引所 安倍内閣総理大臣スピーチ 平成25年9月25日)
安倍晋三が、靖国神社に参拝したからといって、安倍晋三が「構造改革」を推進しているという単純で明白な事実を帳消しにすることはできません。

「構造改革」を嬉々として推し進める政治家を指差して、「正しい歴史認識をもっている」などという、事実に反する主張を信じたり、流布するようなことがあってはなりません。

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No title

https://www.gosen-dojo.com/index.php?action=journal_view_main_detail&post_id=2914&comment_flag=1&block_id=1998

案の定、安倍晋三は靖国神社に対するまともな知識が無い事を白状しました。
「英霊」を「ヒーローではない」とか、何を寝ぼけた事を言ってんですかね、この男は。
言葉の字義どおり、「英霊」とは「秀でた霊」の事ではないですか。
「英雄」とか「英邁」とかの時に用いるのが「英」という漢字です。

田中角栄のような優れた人物も居たので一概に学歴差別はしたくないですけど、
「二世・三世の恵まれた教育環境に生まれ育ったくせに東大・早稲田・慶応に行く知能が無かった」
安倍晋三の無知無教養ぶりをさらけ出したようなものです。

「靖国神社とは何か?」「英霊とは何か?」という最低限の知識も無く、総理大臣の靖国神社参拝を主張し、それを行ったのが安倍晋三という男です。

『消費税増税やTPP参加問題で自分に失望している信者たちに、今一度期待を持たせる為に靖国神社参拝を行った』

『靖国神社を政治利用した』

これはもう確定しました。

>心のボスさん

>ひとつ付け加えるなら、その日本改造は、外圧を偽装することによって進められてきた側面も忘れてはならないと思います。

そうですね。重要なことです。
そうやって「売国」をカモフラージュしてきたんでしょう。
安易にそういう流れに乗ってはならないと思います。

No title

アメリカには投資家という名のハゲタカが跋扈している国です。

彼らは超一級の英語力・会話力・交渉力を備えています。

そんな彼らに、日本政府はISD条項による紛争で勝てるのでしょうか?

私は実際にハゲタカに会った事があるので分かるのです。

彼らには弱点はありません。

彼らには絶対に勝てません。

No title

靖国とは、英霊に感謝をする場所であって、英霊を否定する場所ではないはずです。
しかし、現在の安倍政権が世界に発信しているメッセージはなんですか??

「不戦の誓い」です。

「不戦の誓い」とは、英霊が国家のために戦ったこと、そのすべてを否定し、「過ちは繰り返しません」といった自虐史観に基づいた言葉です。

安倍が靖国参拝した上で「不戦の誓い」を世界に発信するということは、自虐史観を世界に広めていることに過ぎません。

さらに言えば、安倍が靖国神社を「不戦の誓い」をする場所とすることは、靖国神社を平和公園などと同等のものにしてしまうということです。

安倍が靖国参拝したからなんだって言うのですか?

大事なことは参拝することだけではなく、どのような思いで参拝するかでしょう。

私たちが靖国神社に参拝するならば英霊への感謝と共に誓うことは「すばらしい日本世永遠に」ということでしょう。
つまり、「国家の維持、防衛」であるべきです。

安倍信者はそんなことも考えず、安倍の靖国パフォーマンスに熱狂している間抜けでしかありません。

安倍信者を含めた右側は、もはや歴史問題においても、構造改革、アメリカ追従においてもすべて一貫して売国でしかありません。

No title

安倍晋三は、昨年萩の松陰神社に参拝したそうですね。
山口県の英雄として、安倍晋三は吉田松陰を尊敬し高く評価しているのですが、管理人様の指摘するような国賊・売国奴が、何の顔(かんばせ)有って吉田松陰に報告できるのか、その図々しい神経にはほとほと呆れかえります。

吉田松陰の主張を鑑みれば、管理人様の仰る事、その態度こそが吉田松陰も主張したであろう内容です。
安倍晋三のように、日本を劣った悪の国と見なして、だから世界に開放しようなどという考えは吉田松陰には皆無ではないですか。

私は会津藩の末裔ですから、そこまで吉田松陰とか松下村塾については好きになれないし評価しないのですが、
安倍晋三のような国賊・売国奴よりは「百万倍マシ」くらいの事は否応なしに認めます。

要するに安倍晋三は「吉田松陰を尊敬している」と言いながら、その実は吉田松陰の思想や行動を最大限に愚弄し冒涜しているのです。
全ての山口県民は、郷里の偉人を冒涜するこのような安倍晋三にNOを突きつけなければいけないのではないですか?

同じ事を「会津出身の総理大臣」が行ったら山口県民はどう思うのでしょう?
一見「吉田松陰を尊敬している」などと言っておきながら、実際の行動は吉田松陰の主張や行動と全く逆な事を言ったりやったりしているような奴には、

「ふざけるな!オレ達の郷里の偉人を馬鹿にするな!」

とぶち切れるのではないのですか?
それこそが正しい態度です。

それが「山口県出身の総理大臣」となれば途端に評価が甘くなるのですから、脱力します。

No title

以下の主張に賛同。

【「歴史問題」によって、日本の悪いイメージが世界に流布されるという問題は、それ自身小さからぬ問題であるとしても、付随的な問題に過ぎず、「歴史問題」が目指す最終的なゴール地点は、「日本の国を作り替えること」、「日本を日本でなくしてしまうこと」、つまり「構造改革」です。】

最終的に日本が改造されることが問題なのです。

ひとつ付け加えるなら、その日本改造は、外圧を偽装することによって進められてきた側面も忘れてはならないと思います。

国家の上位に多国籍企業が支配する「あの流れ」です。

今は右翼も左翼も構造改革を「アメリカのせいに」しすぎています。しかしこれは国賊官僚・国賊財界の思う壺であり、反省しなければならない点でしょう。これが続く限り、有事を演出して構造改革をすすめる手口は変わらないでしょう。従米、という名の、外圧偽装も考慮しなければなりません。

特に今の右翼・保守は財界の批判をしなさすぎます。右翼でも保守でもなかったといえばそれまでですが、戦後レジームによりかかってきたのは左だけではないと感じています。

ポン吉のブログー反TPP宣言ー

まさか、右翼と呼ばないで!さんのところでも書きましたが、慰安婦謝罪発言を安倍シンパは通訳の誤訳だと主張していますが、安倍総理はその事を国際舞台で全く訂正していません。安倍総理の発言を受けてブッシュ大統領は世界中のマスコミの前で安倍総理の謝罪を受け入れると発言してしまいました。安倍総理が慰安婦問題を解決出来るわけがありません。

だって本人が謝っちゃったんだもの。これ、河野談話よりひどいですよ。

『正しい歴史認識』にウンザリ

『正しい歴史認識』というフレーズを見るたびにウンザリする。
そもそも『正しい』とはどのように定義するのか?と。
その定義はきわめて主観的なものであることは論をまたない、
だから,

『正しい歴史認識 by 中国』
『正しい歴史認識 by 韓国』
『正しい歴史認識 by 日本』

この、3ツの『正しい歴史認識』がくんずほぐれずで
延々と取っ組み合いをやっている。
何時迄経っても終わらない。
アタリマエ。主観の衝突に過ぎないのだから。
『正しい歴史認識』なんてナルシスティック/自己陶酔的で
役にも立たない言葉を使うのはもう止めにしたい、
こんな定義のタームはディベートでも役に立たない。
歴史認識を対外的に衝突の場で提示するということは、
その領域に於ける自己の正当化を行うことに他ならない。
だから、堂々と、

『日本の国益に叶う歴史認識』

と云えばいい。
それが国家が持つべき歴史認識なのであり、
国家の歴史認識とは存在意義上、
自国の利益に沿うべきものが『世界標準』、
英国の歴史教科書における植民地経営の叙述など、
堂々飄々としたものだ。

『自国が当事者である歴史に於いて歴史認識は本質的に主観認識であらざるを得ない』
そう宣言すればいいと思う。








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参考記事; 道州制: 何が問題なのか
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